足で踏み潰した瞬間

会議中にそいつはやってきた。
会議の終盤、お昼時を狙っていたのか、やつは早足でやってきた。
驚くくらい早くて、黒い。通常の3倍の速さで歩いてきた。

その会議をおこなっていた場所は、ご飯を食べるところだ。お昼時を明らかに狙ってきたのだろう。
しかし、黒い奴にも誤算があった。今日はご飯の出食はない。つまり、ここには奴がほしがるものがなく、ただ人が複数人テーブルに座っていただけ。

奴は早くてなかなか倒せない。テーブルをくぐって、俺の足下にやってきた。どうやって、奴の動きを止めようか―と考えてるのもつかの間、奴はその場から離れようとしていた。
「踏むしかないか!」と声を発したと同時に一歩、思いっきり踏んづけた。足をどかすとそこには、ゴキブリが一匹。よくよく見るとゴキブリのお尻から白いものが出ている。たまごかな?

とりあえず、ティッシュにつつんで燃えるゴミに紛れて捨てられたゴキブリの運命やいかに。


つづかない